玉ねぎ
玉ねぎを切りながら、考え事をしていた。
「あれはどうしたらいいだろう、こっちはどうしよう」
考え事というより、悩んでいた。
玉ねぎのせいで涙が出た。
涙を拭いていると、ふと、悩めるのは幸せなことだなーと思った。
悩むのは、時間があるからできることだ。
本当に時間がなくて焦っているときは、何かに悩んでいる余裕はない。
玉ねぎを切る。
わたしは料理が下手だ。(どちらかというと、経験不足によるものだ。)
でも、数年前まで、包丁を握ることすらあまり上手ではなかった。
もっと遡れば、10年前までは、インスタントラーメンすら作れなかった。
玉ねぎを切って料理ができるというのは、幸せなことだなーと思った。
得意でない料理というものは、わたしにとって、
時間と心に余裕があるからできることだ。
でも、事前に玉ねぎを冷蔵庫で冷やし、よく切れる包丁ですぱっと切ると
玉ねぎを切る時に涙は出ないらしい。
今度は涙が出ないようにしたいなーと思った。
準備をする。道具を揃える。
悩みだってそうして調理してしまえばいいのだ。
玉ねぎを切り、今度は鶏肉を切る。
寒いので、グラタンを作ろうと思う。