Qの箱庭

ショートストーリー仕立ての毎日

玉ねぎ

f:id:Qingum:20141105214534j:plain

 

玉ねぎを切りながら、考え事をしていた。

「あれはどうしたらいいだろう、こっちはどうしよう」

考え事というより、悩んでいた。

玉ねぎのせいで涙が出た。

 

 

 

涙を拭いていると、ふと、悩めるのは幸せなことだなーと思った。

悩むのは、時間があるからできることだ。

本当に時間がなくて焦っているときは、何かに悩んでいる余裕はない。

 

 

玉ねぎを切る。

わたしは料理が下手だ。(どちらかというと、経験不足によるものだ。)

でも、数年前まで、包丁を握ることすらあまり上手ではなかった。

もっと遡れば、10年前までは、インスタントラーメンすら作れなかった。

 

 

玉ねぎを切って料理ができるというのは、幸せなことだなーと思った。

得意でない料理というものは、わたしにとって、

時間と心に余裕があるからできることだ。

 

 

でも、事前に玉ねぎを冷蔵庫で冷やし、よく切れる包丁ですぱっと切ると

玉ねぎを切る時に涙は出ないらしい。

今度は涙が出ないようにしたいなーと思った。

 

 

 

準備をする。道具を揃える。

悩みだってそうして調理してしまえばいいのだ。

 

 

 

 

玉ねぎを切り、今度は鶏肉を切る。

 

寒いので、グラタンを作ろうと思う。