理想のあの人は現実に最も近いファンタジー
石井ゆかりという占いをするひとが好きで著書を何冊か持っている。
彼女の占いは好きだし参考にしているのだけど、実は彼女のいちばん好きなところは彼女自身が占いを信じていないというところだ。
本の中にも必ず一言、「私は占いを信じていません、信ずべき根拠がないからです」
というような文言が入り、「占いは非現実的で、ファンタジーのようなもの。
でも私たちは時にそれを求めたくなり、時にちょっとだけ救われたりもする」と続く。
(余談だけど最近読んだ「3年の星占い」のあとがきにあるQ&Aコーナーみたいなところが面白かった。)
”私の占いには「この時期にはこれをしたほうがよい」というようなアドバイスはありません。「この時期、あなたは新しいことに挑戦するでしょう」と書いてあったとしても、あなた自身がそれをしたいと思えないならば、無理して占いに合わせるなど、ナンセンスだと思います。
たぶん「うるさい!私に指図するな!」というくらいの主体性を持っていたほうが、人生はおもしろいのではないでしょうか。そして、そんな反骨精神を持ちつつも、「少しだけ、未来を占いで覗いてみたい」という、繊細なファンタジーも秘めているがゆえに、人は人に優しくなれるのではないかとも思うのです。”
話は変わって、数日前、以前憧れ尊敬していた人ととある集まりで再会した。
彼は以前(といっても半年くらい前)はあった覇気のようなものがすっかりなくなり
仕事に疲れている様子で、ついでに仕事に対するやる気もなくなっていた。
環境の変化もあり忙しくて疲れているのだろう、とわたしは自分を納得させようとしたけど、
どうしてもうまくいかなかった。
正直がっかりして、悲しくて、自分のやる気もなくなって、そしてそんな風に思ってしまう自分を傲慢だな、と思った。
わたしが思い描いていたのは自分で勝手に描いた理想のその人なのに、
それはいわばファンタジー世界におけるキャラクターのようなもので、
目の前に現実に存在するその人そのものではないのに。
頭ではわかっている。それでもわたしはどこかで期待していたんだ。
どこかでファンタジーを信じていたんだ。
でも現実と向き合わなきゃいけなくなった時、いったいどうすればいいんだろう?
わたしはこれから一体、誰を追いかければいいんだろう?
ぐるぐるしばらく悩んでから、まあいいや、って思った。
別に現実世界だけに生きなくてもいいや。
非現実だって、わたしが憧れた理想は確かにそこにある。
わたしはそれを追いかけよう。たとえ別人だったとしても。
そうすることで、わたしは少しだけ救われるから。
今週のお題「最近おもしろかった本」(ひさしぶりにお題に便乗)