Qの箱庭

ショートストーリー仕立ての毎日

夏は水色(「短歌の目」第6回)

こんばんは。夏ですね。今月もよろしくお願いします。

tankanome.hateblo.jp

 

 

 

1.ジャワ

ジャワジャワと鳴る蝉時雨降り注ぐ 空は快晴青天井だ

 

2.くきやか

君と来た道を一人で帰るとき 世界はいつもくきやかになる

 

3.蝉

蝉は鳴く ”7日限りのデスゲーム” それが人間なら僕も泣く

 

4.冥

遠すぎて近づけもしなかったけど去り行く君にただ冥福を

 

5.まつり

川の向こう まつりばやしの声を聞く 年に一度の恋い声を聴く

 

6.日焼け

日焼け止め・グラサン・水着 持ったけど 外出たくない 一歩も出ない

 

7.くちづけ

燃え上がる夏であるほど愛しくて 熱いくちづけ とろけるバニラ

 

8.風鈴

風吹いた?鳴る風鈴を見てみれば 白い毛玉がじゃれついている

 

9.菊

0と100 その中間の 空っぽの 穴の裏にも 菊、咲き誇る*1

 

10.【怪談短歌】

愛飢え男 かきくけこ刺し すせそた血 つてと何?ぬね のはひふへへへ

 

 

 

 


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空の色も、みずみずしさも、涙の色も、遠い思いも

純粋さも、プールの色も、蒸す空気も、風の爽やかさも、

空っぽの先に見えるものも、薄さも淡さも儚さも、すべて。

 

わたしに見える夏は水色。

どこまでも日常の中に染み渡る、まるで水のような色。水色。