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Qの箱庭

ショートストーリー仕立ての毎日

変わったもの(帰省日記)

眠るときの布団。シャンプーの種類。食器の種類や枚数。ご飯のときに座る位置。姉のマイカップが猫の取っ手に。電子レンジの音がしない。バランスボールが踏むタイプの健康器具に。食パンとかの袋に全部なんでもワンタッチで止められる便利グッズみたいなやつがついてる。ごはんの量が少ない代わりに、高いコンビニスイーツを買ってくるように。

店がまた潰れて増えている。TSUTAYAの本の陳列がちょっと見やすい感じに。レンタルコーナーに謎の空白スペースができてる。スーパーにはUFOキャッチャーコーナーが増えた。通っていた高校の校舎は別の建物になっていた。

 

ここはよく知った見知らぬ場所だ。帰省初日、そんなことを思った。

 

 

帰省3日目、兄家族が帰省してきて、子供たちが予想以上に大きかった(それに応じて性格も変わった)のもあるけど、兄の見た目がだいぶ変わってて、一瞬ほんとに兄かわからなかった。帰省自体は年に1回くらいだけど、兄とはタイミングが合わず4年くらい会ってなかった。奥様いわくけっこう太ったとのこと。なるほど……。

 

そういえば太ったといえば絶対わたし太ったと思う(なにせ2日に1回くらいのペースでボリュームと値段とカロリーがちょっとお高いケーキ食べてた)。しかも母がご飯をつくってくれるのをいいことに運動もせず完全にごろごろしてた。もう体重計に乗るのは諦めたし、そう言ったら3人くらいに「現実を見ろ」って言われたのでそのたびに「なんでバカンス気分で現実逃避のために実家に長期帰省しに来たのに、ここでまで現実なんか見なきゃいけないんだよ!!!」って心の中で逆ギレしていたのでこの場で懺悔と謝罪しますすみませんでした。例年通りなら現実に戻ると体重も元に戻るので大丈夫…!データ引継ぎ?今いりません!!

 

だいぶ脱線した。

 

帰省7日目。地元の海を見に行った。

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平らで暗くて何もない海。天気こそ違えど、これは全然変わらないもの。

 

土地も、主要な建物も、家も、家族も。
細部は違ってもなんにも変わってなんかいないのに。

変わったところを見つけては全部変わったように感じてしまうわたしの方がきっと変わったんだと思う。

 

離れて戻ってはじめて、気にならなかった些細な違いが見えるようになったり、家族や地元の友人が、帰ってくる場所が、どういう存在か見えるようになる。
そしてそれらを反射して、自分という存在を見られるようになる。

実家に帰るたびに、快適で温かいこの場所にどうして自分が戻って暮らさないのかという疑問に答えを見つけて帰ってくる。

 


この完成された平穏で優しい空間の外側にだけ可能性があって、わたしはその可能性が欲しい。
そのために戻らずにここにいる。わたしがわたしらしく生きていくにはそれが必要なことだから。


わたしも地元もこの気持ちも、細部は変わっても根元は何も変わらない。
いうなればバージョンアップなんだ。そうか。ここまで書いてやっと気づいた。

 

 

新しいバージョンがあります。アップデートしますか?