Qの箱庭

ショートストーリー仕立ての毎日

どうもこんにちは、パンケーキ妖怪です。

新しい職場の近くにガストがあるのをいいことに調子に乗ってモーニングセット制覇を目指していたきゅーいんがむ。しかしそこにまさかの強敵が立ちはだかる。

 

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パ…パンケーキセット…だと…!?朝からパンケーキ…!?メープルシロップとホイップクリーム…!?こんなオシャンティーセレブリティで大丈夫なの朝から…!?あとすごく純粋に、お腹膨れるのこれ!?

 

と思って山盛りポテトフライを追加したのが悲劇のはじまりだった。まずパンケーキ。甘い。甘すぎるっ…!これセットドリンクバーで甘い飲み物飲んでちゃダメなやつだ!すかさず烏龍茶(なんでこれ原液と水に分かれてるの…?烏龍茶の原液って何…?)に切り替え攻略。あっやばいけっこうお腹膨れるこれ。でもなんかこれだけじゃ微妙に満腹にならない!こっちは仕事帰りでお腹減ってるんだよ…まだモーニングの時間なのに飢えてるんだよ…。

オーケー、次はポテトフライだ。ポテトに手をつける。甘味に襲われすぎていたせいか、何故か甘くないことに安心する。黙々と食べる。飽きる。お腹いっぱいになってきた…。これ完全にちょい盛りポテトフライでよかったやつだ!なんで山盛りにしたんだ俺!と思いながら完食する。厳しい闘いだった…。

 

さて、パンケーキセットも攻略したし、次は。と思い翌日。

わたしの姿を見ただけで「お好きな席どうぞー」と言ってくれるようになった店員さんにモーニングセットメニューを渡され、次のメニューを吟味する。しかし頼んだのは、またもパンケーキセットだった…。

 

あのふわっふわの食感。マーガリン+メープルシロップの優しい甘じょっぱさ。そしてホイップクリームのあまふわに包まれて仕事疲れの脳に優しく糖分が行き渡る感覚…。

気が付けばわたしはパンケーキセットの虜になっていた。平日休日問わず朝早くに訪れてはパンケーキを求めるパンケーキ妖怪。それまではただのドリンクバー妖怪だったのがまさかのクラスチェンジ。メニューも開かずパンケーキセットを注文しては、追加でちょい盛りポテトフライや、挙句の果てにきのこ雑炊+パンケーキセットという暴挙に出る(どっちも単品では満腹にならないのでちょうどよかったりする)。

 

仕事で体力を使い果たしたあと、「パンケーキ…パンケーキ…」とつぶやきながらパンケーキセットを頼んで、食して満足したあと、不意にわたしはこんなことを考えていた。

「わたしは、どうしたらパンケーキのように優しくなれるのだろう…。」

 

最早悟りの領域に達したわたしはいてもたってもいられずその場で「優しさ」について検索した。

 

やさし‐い
優しい・易しい】
《形》
  1. []
    細やかで柔らかな感じを与える有様だ。
    • おとなしく、すなおだ。「気立ての―娘」。思いやりがあって親切だ。
       「―心づかい」
    • 優美だ。
       「―姿に咲くすみれ」
    • 《「…に―」の形で、…の所が人以外のものを指す場合》
      それに思いやりがあるかのように、荒れ・汚染などの悪作用が無い。
       「お肌に―化粧品」
  2. [易]
    すぐできる(わかる)ほど、扱いが簡単だ。
     「―問題」

 

確かに、パンケーキは優しい。食感はやわらかく、甘さはすなおで、その姿は優美である。そして仕事疲れで荒れたわたしを浄化してくれる。

わたしもそうでありたい。物腰やわらかく、素直で、それでいて優美でありたい。パンケーキのように凛と立っていたい。

 

 

スマホの画面をそっと閉じて、烏龍茶を飲み干して、わたしは颯爽と店を出る。

負けたよ、完敗だ…!そして出会えたパンケーキという名の強敵(とも)に乾杯だ…!

しかし、ここで立ち止まってはいられない。いつかきっと追いつき、追い越してみせる。そして必ず、モーニングセットを制覇してみせる…!!

 

――新たな決意を胸に、きゅーいんがむの熱い闘いは続く。