Qの箱庭

ショートストーリー仕立ての毎日

入院日記2日目:リハビリのお兄さんに救われる

11/6(水)


起床後、看護師さんとの会話で今日は何も検査が予定されていないことを知る。
え、それってつまり、ヒマじゃん…?どうすればいいの今日これからの一日。

とりあえず後でお風呂に入るという予定だけ入れたものの、暇で、でも目が痛かったので何もできずぐだぐだしてた。目を閉じたり目薬をさしたり1階に行って今日飲むお茶を仕入れたりした。デイルームにも寄ったけど何も進まず。

11時半に血糖値を測ったら、221もあってびびった(正常値は70~110の間)。手前で飲んだブルーベリーサプリのせいじゃないよね…?いやそんなにカロリーないか、とか無駄なことを考えた。
多分、調整して減らした注射の影響と、食後3時間だったから下がりきらなかったんだと思う。

お昼まで目を押さえながらちょっとだけテレビを見た。
大使館を大使婦人が案内してくれるやつ。異文化おもしろいなーと思った。
(普段NHK見ないんだけど、どうにもテレビカードを使って有料で見るには他の情報番組はノイズが多い気がして、入院中は結局NHKばかりつけていた。といっても、合計でも70度数くらいしか減らなかったので、一週間で一時間ちょっとしか見てない)

昼食のデザートにキウイが出て、心の中で「キウイだ!」って叫んだ。
酸っぱかったけど無事完食。
食後は朝できなかった運動をしようかなと思ってデイルームでバタバタ(昨日もやってたDDRごっこ)した。20分で大体1000歩分くらい。
その後看護師さんがお風呂の準備ができたと呼びに来てくれたので、お風呂に入った。

13時過ぎから、たっぷり40分ぐらい入っていたらしい。広くてのぼせづらいお風呂で、しっかりしたゴム製の椅子が付いていて、シャワーも温度調整しやすくてよかった。新しい施設よい。
浴槽は足こそ伸ばせないものの必要十分でよかったし、そんなのぼせづらいお風呂なのにちゃっかりのぼせかけたので(私は40℃以上のお風呂に入るとすぐのぼせるので、普段あまり浴槽に浸からない)、すぐに出て、冷水のシャワーを浴びて体を冷ましてからもっかい入った。
せっかくお湯を入れてくれたのに1分しか入らないのは勿体ない&申し訳ないので、そんな感じで交互浴(正式には温冷交代浴というらしい、今調べた)してたら40分経ってた。

合計3回くらい浴槽に入って、さっぱりしたら気持ちもさっぱりしてきた。これからのことや将来のことについて悩んでいたんだけど、

あー、別に目的なんかなくてもいいんだ。やりたいことをやろう。

と思った。
お風呂に入るたびに救われるので、お風呂は本当に偉大(長く浸かるの苦手だけど)。


お風呂から出て病室に戻り、ドライヤー(持ってきてなかったけど貸し出してくれた)で髪を乾かして、
ベッドに戻ってさて、と一息つこうとしたら目の前に母がいてびっくりした。ちょうど良いタイミングで面会に来てくれたらしい。
洗濯物を渡して、持ってきてもらった洗剤とスポンジを受け取って、それから家に忘れてきた高額療養費制度の限度額適用認定証(これを会計で出すと一定額以上払わなくて済むようになる魔法の紙)とMP3プレーヤーを受け取った。MP3プレーヤー、入院の直前になくしたんだけどよかった生きてたのね…。君が無事でほっとした。

母と少し近況報告というか、雑談をして(後に姉ともしゃべったけど、共通してウケたのは「ここ5階だからカラスが自分より下を飛んでる」って話題だった)、
運動がてら玄関まで送って戻る。玄関で、「すまない…私はこのリストバンド(入院したときにつけられたバーコードついてるやつ)があるから病院の外には出られないんだ…常にこれで監視されていて、一歩でも外に出たら爆発して死んでしまう…」ってデスゲームものみたいなことを言って遊んだ。
家族全員が週刊少年ジャンプを読んでいる家庭なので、突然こういうことを言いだしても理解してくれてよい。

で、病室に戻って物を整理して、また目が痛くなってきたので少し寝て…何か違和感を覚えて目を開けたら、今度は目の前に姉がいたのでめっちゃびびった。
寝ぼけてたから「へっ!?」って大きい声出しちゃった…隣の人ごめんなさい…。

そんで姉がまたずっと大きめの声で喋るものだから、さすがに隣の人に迷惑かなと思い売店行こうぜって言って病室を出て1階に降りた。
わかってたけど特に欲しいものなはかったので(必要なものは持ってきてるしお茶と水以外の飲食禁止されてる)、うろうろして出て、デイルームで無料の水を飲みながら雑談した。
ネガティブすぎる姉と「なんで窓開かないのかな」「逆になんで開けたいの?」「ここだったら飛び降りたら死ねるじゃん」「それを防ぐために開かないようになってんだよww」っていう不謹慎トークをした。不謹慎だけどちょっと面白かった。

というか姉、仕事が早帰りになったので寄ってくれたけど、この後帰宅前に患者さんの家に薬を届ける仕事があるらしい。
早帰りとは…。普通に仕事あるじゃん。(有給を消化させたい会社の都合で半休が入るけど、実質半日休めないらしい。大変すぎる)
というか、なんだかんだ言ってそんな最中に病院に寄ってくれる姉優しいなあと思う。

お茶しかできなくて、いや水しかできなくてごめん。早く帰った方がいいよそれ、と言って姉を玄関まで送り、もう一度戻る。
多分これが15時半から16時くらいの出来事。

で、一段落したら今度はリハビリのお兄さん(たぶん理学療法士さんだと思う。ずっと心の中でリハビリのお兄さんって呼んでた)がやってきて、リハビリ室に案内してくれた。
入院生活はどうしても運動不足になるので、運動のためにリハビリ室で運動するように昨日先生が手配してくれたらしい。
今日からリハビリ室にあるエアロバイクで運動をすることになった。

 

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リハビリ室のエアロバイクがちょっといいやつでテンション上がった。

おおお、高性能のエアロバイク…!耳たぶにセンサーをつけたら心拍数とかわかるやつ。時間や目標設定できるやつ。めっちゃよい。
お兄さん曰く、うん十万するやつとのことなので、うちの1万5千円のと全然違うと言ったら「僕もそれくらいのが欲しいけど、続くかわかんないから買うか迷ってるんですよねー」って言ってた(お兄さん、まだ20代前半くらいで、話しやすくてかわいいお兄さんだなーと思った)。

お兄さん、割と気さくに話しかけてくれるので、いろいろ話した。仕事の話とか、保健室のエピソードとか。
保健室のエピソードというのは、小学生のとき毎日給食の前に保健室まで注射を打ちに行ってたんだけど、終わった後に教室までダッシュで戻ったら皆が「いただきます」をしないで待っていて、それが息苦しかったという話。病気で小さい頃大変だったことありますか?って聞かれたので答えた。

お兄さんがその話を聞いて「待ってないで欲しいですよね」って言ってくれたのがすごく嬉しかった。私、ずっと誰かにそうやって言って欲しかったかもしれない。当時は友達が一人もいなかったから、当時からずっと、誰にも話すことなく一人で抱えてたんだよね。
少し前にpplogというポエムが書けるサービスにもちょっとだけそのエピソードを書いたけど、本当にここ数年まで、自分の持病の話をするのが嫌だった。小さい頃のイメージのせいで、言ったところで誰にも理解されないような気がしていたし、「自分の内面をさらけ出したのに誰にも理解されない」みたいなことが起こって傷つくのが耐えられないと思っていた。
でも、実際には誰も理解してくれないということはなくて、大人になっていろんな人が大変だね、大変だったね、って言ってくれた。
だから、今は話すことがそんなに怖くないし(まだまだ気軽に人に話す気にはならないけど)、小学生の頃の孤独がだいぶ癒されてきたような気がする。もし当時の自分に今声をかけてあげられるなら、大人になったらずっと生きやすくなるから大丈夫だよって言ってあげたい。

17時くらいに病室に戻り、ここまでの出来事をノートに書く。
17時45分、先生方が挨拶に来る。開口一番「頑張ってるね」って言ってくる主治医、苦手だなーと思った。
自分でも面倒くさいこと言ってるなって思うんだけど、私は頑張るとか努力とかそういう言葉がすごく苦手で、だってそれってつらいことじゃん。
つらいことが嫌だから、つらくならないように、楽に楽しく運動したりしてるのに(DDRごっことか)、私が楽しんでいることを勝手に「努力」にしないで欲しい。「努力」にされた瞬間、途端に息苦しくなるから。

みたいなことを思ったんだけど、大抵の人の場合「頑張ってる」というのは褒め言葉だと思うし、悪気があって言ってるわけでもないと思うので、単に私が苦手な言葉なだけだ。
そして私の主治医は教科書みたいな人で、ことごとく私の苦手な「良い言葉」や「正しい言葉」を投げかけてくるから本当に苦手。悪い人じゃない、ないんだけど、私には全く合わない。

18時、夕食。この入院生活一番の当たりメニューだった(ビーフンにハンバーグ。好き。多分頭豆腐ハンバーグだけど)。
バクバク食べてあっという間に完食してしまったけど、明日検査で朝食抜きらしいし、もっと味わって食べればよかったなあ。

リハビリのお兄さんに食後1時間は運動しないほうがいいって言われたので、食後は1時間くらいノートに文字書いたり時間潰したりしてからデイルームへ。
でも結局SNSチェックしてポエム書いたら時間が終わってしまい(19時半から20時)、病室に戻って今日記を書いたら一日が終わってしまった。
(ノートにがっつり3ページ、1時間くらい日記書いてた。この記事はこのノートの内容を公開用に加筆修正して公開してる)


目はだいぶ落ち着いてきた。痛くはあるんだけどまともに開けていられる時間が伸びた。
この調子で少しずつ回復して、やりたいことができるようになりたい。