Qの箱庭

ショートストーリー仕立ての毎日

入院日記4日目:おしゃべりをする仕事

11/8(金)

(1)

今日からは小分けに書こうと思い立ったので小分けに日記を書く。昨夜けっこう無理して遅くまで起きてて眠れなくなってしまったので。体も引っかいちゃって痒いし。
昨日は入院中にしてはよくスマホを触っていたのだけど、目は比較的無事そうだったのでよかった。
そんなこんなで睡眠時間は短めだったし、今日は運動も2回やる予定だし、昨日の予想通り足が筋肉痛なので、運動後とか眠いときは寝るようにして、動けるときに動こうと思う。
あと昼食後に母が来るって言ってたのでそれも念頭に置いておこう、と考えて行動開始。入院は入院でそれなりに忙しい。
あ、起きて最初に昨日の日記を読み返したらけっこう面白かったので、日記を書くこと自体はいいなと思う。毎日は続けられないけど。

7時になったのでテレビをつけてチャンネル回しながらニュースチェックした。めざましは何か暗いニュースばっかりで、朝から児童虐待と政治家の不祥事と空港断水のニュースで彩られるのはつらいな、と思った。
チャンネルを変えたら週末の天皇皇后両陛下のパレード(祝賀御列の儀)のコースの話をしていたので、こういう暗くない話を少しでも取り入れていたいと思う。
情報を得ることは大切だけど、大半は自分の実生活に直接影響を与えるものではないし、だったら気分が暗くならないものである方が、自分にとってプラスになるような気がする。少なくとも今日は。

7時36分

 

(2)

日記書いた後は少し今後のスケジュールを考えて、一瞬先生が来てお話した後朝食。今日から一時的にストップしていた飲み薬の服用再開。
朝食、納豆だったのでテンション爆上がり。納豆だあああ!って心の中で叫びながら食べた。多少醤油こぼしたり粒が大きくてタレの味がしなくて豆感の強い納豆だったけど、納豆であればOKです。
一緒にあった八宝菜っぽい何かも美味しかったし、朝食大当たりだった。
でも勢いよく食べ過ぎてちょっとお腹痛めたwいや最後のみそ汁牛乳ほうじ茶連続コンボがいけなかったのかも。もうちょいゆっくり汁物が最後に偏らないように食べよう…。

朝食後、洗面台が空いたので歯みがきしてたら先生方が来て、また洗面台にいてごめんなさいってなったw何で毎日タイミングが合ってしまうんだろう。もっと遅いと思ってたんだけどな…悪気はないんだけどな…。

でも「調子いいんでこのまま続けましょう」の一言だけで終わってしまったので、そのまま続けて身支度終わらせてスケジュール続き。平日と休日のスケジュールを練る。
とりあえずちょっとずつ今後のための時間が取れそうなので、ちょっとずつ色々進めていきたい。(※一ヶ月経ったけどあんまり守れてない、やっぱ実際生活してみると色々難しい)

そういえば、検温の時に確認したけどまじでこれから何も検査入ってないっぽい。
え、今日含め残りの5日半、血液検査の結果待ちと栄養相談受けに行くだけ…?入院する必要なくない…?丸8日の休み取るのけっこう大変だったんだけど、大変だった割にやることないのつらいな。
まぁもう始まったものはしょうがないけど。はぁ…。

 

10時から運動。リハビリルームへ。お兄さんとまたお話したかったのでわくわくしながら行ったんだけど、お兄さんは2日目でもう機械にも慣れたからと、最初設定だけ手伝ってくれた後すぐ他の患者さんのところに行っちゃってちょっと悲しかった。
仕方ないので一人エアロバイクのペダルを漕ぎながら、お兄さんや他のリハビリスタッフさん達の様子を観察した。そしたら、みんなすごくたくさん患者さんと会話してて、「ああ、こういう仕事なんだ」って思った。
リハビリってすごくつらいわけじゃん。つらいけど動かなくなってしまった体を動かさなきゃいけなくて、そんな状況のときにどうしたら嫌にならずに続けられるのかっていったら、支えになるのは会話なんだよ。
担当の人と会話するのが楽しい。だから通いたい/つらいリハビリも頑張れる。そう思ってもらえるようにみんないっぱい話してるんだ。私がお兄さんとお話するのが楽しみで今日ここに来たように。患者さんを支えるために会話をすることも、彼らの大事なお仕事なんだ。
介助することだけが仕事じゃない、目に見えないホスピタリティ。なんて素晴らしい仕事なんだろうと思った。
それに比べて私は、健康なのに邪な気持ちで来てごめんなさい…wでもちゃんと楽しみに思わせてくれてありがとう、お兄さん。ほとんど会話はできなかったけど。

どうにか20分ペダルを漕ぎきって病室に戻って体を拭いて(こんなところでビオレシートが役に立つとは。DDR用に持ち歩いているやつ、病院にも持ってきててよかった)、肌着は替えが1着しかないから午後の運動後に着替えようと我慢してたらめちゃくちゃ体が冷えてうわこれ無理だと思って即着替え、母に家にあるありったけの肌着を持ってきてくださいとLINE。(でも1着しかなかったらしく、午後にTシャツなどを含めて持ってきてくれた。)

12時昼食。はじめて残した…。ご飯やおかずじゃなくて、ほうれん草に添えられていたからしマヨネーズがダメだった。
ダメすぎて誰だよ神聖なほうれん草にこんな冒涜したのは、ってキレそうになった。単なる好き嫌いの話でしかないし、たぶん好きな人は好きなやつだとはわかっているけど。

食後、どうしても眠くて消化に悪いと思いつつ、目薬ついでにちょっとだけ横になる。
13時、気配を察してカーテンを開けたら予定通り母が来てくれていた。着替えなどを受け取り、洗濯するものを出して、雑談。
雪がとけた、昨日は各地で(雪が)降ったらしい、風の音がすごくて昨夜は眠れなかった、(病室の窓から見える)海のグラデーションがきれい、など、母の言葉は自然に関するものが多くて素朴で良い。私が自然を文章にすることが多いのも、母に似たからなのかもしれない。

f:id:Qingum:20191210183325j:plain

途中から、なんとなく隣に迷惑だったら困るなと思ってデイルームに移動した。
窓の外を見て、あれは雪だとか雪虫だとか、あの窓から見える家が大変そうに除雪してたのを母が入院中に見てた、とか、(母は1年前に少しの間入院していた)そんなことを話したり聞いたりした。
それから、デイルームの窓が病院の駐車場に面していて、ちょうど見下ろせるような位置になっていたので、高低差のせいでミニカーが並んでいるように見える駐車場の車の出入りを2人で上から眺めた。
また1台出た、入った、あの車は前から入った、手前に止めた、色が地味なのが多い、みたいなことを言い合った。言い合いながらずっと眺めていて、10分ぐらい眺めていてもちっとも飽きなくて、これが私の母の関係性というか、相性だなと思った。
ずっと駐車場を眺めていられる関係って、案外なかなかないと思う。父や姉とならまずできない(駐車場の車の動きに長時間興味を持ってくれない) し。
最後に日差しが強くなったので、ちょっとだけ離れた席でお茶(水だけど)して、13時55分になったのでお見送り。準備して2回目の運動。

今度はお兄さんも他の人もほとんどいなかったので、勝手に運動して勝手に帰った。画面との勝負というか、エアロバイクとの勝負みたいになっていて、消費カロリーに応じて表示される食べ物の「バナナ」のその先を見たくて、心拍数の設定をちょっとだけ上げて、勝手に自分を追い込んで勝手に疲れ、14時30分頃にお風呂に入りたいって事前に申告したのに14時52分になっても何も言われないことに勝手に苛立ち、もうやだみんな嫌い、みたいな気持ちになり、そんな気持ちになったことをその後(入れるようになった)シャワーを浴びながら反省した。
無理をするとすぐに言いたいことが言えなくなり、勝手に我慢して勝手に爆発するので、まず無理をやめようと思った。それから冷静さも、今のように反省する心も忘れないでいたい。

その後病室に戻り、この日記を書いている。
(間に新しいお隣さん(前の人は今朝退院して、お昼過ぎに入れ替わりに入ってきた)と挨拶したりした。入ってくる前にゴシップ系の女性週刊誌が置いてあったのを見ていたので、そういう噂話的なのが好きな人だったらやだなあ、と思っていたんだけど、挨拶してみるとめっちゃ謙虚で物腰柔らかなおばあさんだった。やっぱり勝手なイメージで人を判断するのは良くないと思った。)
あ、あと夕方の巡回で先生と少し話して、月曜日に心臓の検査をするという話になった。心電図の検査をしたときに、念のため検査した方がいい項目が見つかったんだって。なにそれこわい。何もないのもそれはそれでつらいので検査があるのは嬉しいんだけど、複雑な気分。

17時51分